箱根駅伝では関東の大学が数多く参戦し、大学の知名度アップにつながっています。その中でもMARCHは青山学院大学を筆頭に知名度の高い大学が集まっており、法政大学もその1つです。
法政大学の人気はなぜ根強いのか、人気が高まっている理由や学部別のランキングをご紹介します。
法政大学の概要
まずは法政大学とはどのような大学なのか、その概要を最初にご紹介します。
法政大学の特徴
法政大学は1880年に設立された東京法学社と1886年に設立された東京仏学校をベースにした大学です。フランスの法律を中心とする教育を行い、日本で先んじて法律を専門とする学校を立ち上げると、1920年には旧制私立大学に昇格するほか、早慶や東大、明治、立教と一緒に東京六大学を構成するなど、伝統校の1つでもあります。
11の文系学部、4の理系学部、合計15学部を擁する法政大学ですが、大学全体の偏差値は52.5~65.0となっており、MARCHの中では低めですが、全国の大学で比較すれば明らかに上位というポジションです。
法政大学の学部
ここからは法政大学の学部について簡単に特徴をご紹介します。
法学部
法学部は法政大学の礎となった学部であり、その歴史は100数十年にもなる伝統的な学部です。法律学科、政治学科、国際政治学科とあり、法の観点から個人の権利や世界が抱える問題などを探求する学問です。6つのコースモデルがあるので、法曹コース、労働法や商法のコースなどを選べます。
文学部
法学部と同じ1949年の開学当初から存在する文学部。6つの学科で構成されており、哲学から日本文学、英文学、人気が根強い心理学など幅広いジャンルが学べます。地理学科では日本や海外でフィールドワークを行うなど、国際色を感じさせる学びも行われています。
経済学部
経済学部も法学部・文学部同様、開学当初からあった学部です。経済学科、国際経済学科、現代ビジネス学科とあり、硬派に経済学を学んでいきます。それもあってか、2022年の新入生の男女比率は75%が男性と、同じような学部で比較した際に若干男性が多めとなっています。
社会学部
社会学部は1952年に設置され、日本の大学の中ではかなり古くにできた学部です。時代に応じて学科も変化していき、現在は3つの学科があります。社会学の領域を中心に学びつつ、社会学以外の知識を収集して活用していく社会政策科学科など、社会学部にいながら幅広い学びができます。
経営学部
経営学部は社会学部と同じ時期にできた学部です。経営学部は当時経済学部の人気が急上昇し、実学をメインにした学びを行うために作られています。21世紀に入り、マーケティングを学べる学科を作るなど、時代に即した学部運営が展開されているところです。
国際文化学部
国際文化学部は、1999年に作られた国際系学部です。世界で活躍する人材を育てていくため、様々な文化を学ぶとともに、留学やICTの習得などに着目し、少人数教育を行う中で魅力的な人材を育てていくための学びを実践しています。
人間環境学部
法律系、経済系、社会学系などの科目群に環境という観点を加えたのが人間環境学部。総合的な学びを行いつつ、環境に関する考え方を培えるます。現在盛んに叫ばれるSDGsを最大限に理解する人材が育まれており、社会に役に立つ人材が輩出されています。
現代福祉学部
福祉をテーマにした学部の現代福祉学部は、福祉と地域づくりを学ぶ福祉コミュニティ学科と臨床心理学科の2つで構成されています。女性の割合が比較的多い学部でもあります。
キャリアデザイン学部
キャリアデザイン学部は、教育とビジネス、ライフの3領域を学んでいき、人生のキャリアを考えていく学部です。1年次から基礎ゼミがあり、テーマを設けて学んでいく基礎固めを行いながら、学年が上がるごとにより深い学びを行っていくことになります。
グローバル教養学部
グローバル教養学部は2008年にできた国際系学部で、基本的に英語で学習を行います。英語でのコミュニケーションを養うことができる学部であり、女性の割合がかなり多い学部として知られ、国際的に活躍する女性が多く出ることが期待されています。
スポーツ健康学部
スポーツ健康学部は文系の中では現状一番新しくできた学部です。スポーツ健康学を1つの題材として学ぶことができ、スポーツの指導者からトレーナー、理学療法士といったスポーツと健康の知識をそれぞれ兼ねた人材を育成していきます。
情報科学部
情報科学部は情報技術のスキルアップにつながる学びが行える学部です。ディジタルメディア学科ではプログラミングなどを学ぶことができ、デジタル分野で活躍できる人材発掘を目指します。
デザイン工学部
デザイン工学部は工学部を再編して設立された学部です。メインは総合デザイン、様々なジャンルのデザインを学び、ものづくりにつなげていく学部です。理系学部の中で唯一市ヶ谷キャンパス周辺で学べるのも特徴的です。
理工学部
理工学部は工学部の複数の学科が独立するような形で作られた学部です。この中にある機械工学科航空操縦学専修ではパイロットとしての学習が行えるほか、日本の大学では初めて留学をせずに操縦士の免許を取得できることでも知られています。
生命科学部
生命科学部も工学部の一部学科が独立して作られた学部です。生物学と生命学を中心に学んでいくほか、外部の研究機関と連携する、インターンシップ科目があるなど、長い目で見た教育を実践している学部でもあります。
評判や就職率から分析! 法政大学の人気が上昇している理由とは?
MARCHの中で見ると比較的地味なポジションとなっている法政大学ですが、実はその人気がジワジワと高まっています。その理由をご紹介します。
現代に見合ったグローバルな学びができる
法政大学は国際系学部が2つあるほか、一般的な学部の中にも国際的な学びができる学科がたくさんあるなど、グローバル教育に力を入れています。派遣留学生に対して奨学金が最大100万円支給されるほか、派遣留学生制度は全国でも4番目に素晴らしく、MARCHの中では一番充実しています。グローバル化に向けて大学が強力にサポートし、学生の留学を後押しします。
学生を主体とした現場での学びができる
元々自由な校風として知られ、生徒の自立を妨げない法政大学。こうしたスタンスは生徒への教育姿勢にも色濃く出ており、フィールドワークの推進や懸賞論文の存在、学生が主体的に学べる学習スペースの確保など、能動的に学べる環境が整えられています。
キャリア指導がアツく就職率が高い!
キャリアデザイン学部もあるくらい、人生のキャリアを真剣に考える法政大学。1年生の時からキャリア教育に力を入れ、その指導も熱く、ただ就業支援を行うのではなく、主体的に自分のキャリアを考えられるようなサポートを行います。その結果が実就職率にもつながっており、大勢の学生を抱える中ではかなり健闘した数字を残している状況です。
公務員への就職人数も多い
法政大学には公務人材育成センターと呼ばれるところがあり、文字通り公務に関する人材を育てるため、2011年に設置されました。これに伴い、公務人材を学内で育成でき、公務員講座でも実践的な学びが行えます。現状はWeb講座として行われ、入門、基礎を2年までにこなし、3年からは本格的な対策講座が立ち上げられるほか、サポート体制は万全です。
2022年卒業の学生の中で警視庁や横浜市役所、日本年金機構、東京国税局など公務やそれに準ずる仕事に就く学生を多く輩出しています。
有名な卒業生も多くネットワークが広い
令和おじさんとしても知られ、法政大学出身者で初の総理大臣となった菅義偉氏を始め、有名な卒業生が多いのが特徴です。特にメディア系で多くの卒業生を輩出しており、テレビ局やラジオ局の会長社長、取締役などを歴任した卒業生も多くいます。
政財界に多くの卒業生がいるため、それだけネットワークも広く、法政のイメージアップや法政の魅力向上にもつながっている状況です。
法政大学の学部別偏差値レベル&入試難易度は? ランキングを紹介
ここからは法政大学の学部別の偏差値、入試倍率についてランキングを作りましたのでご紹介します。
法政大学の学部別偏差値ランキング
第15位:理工学部 偏差値 52.5~57.5
第14位:グローバル教養学部 偏差値 55.0~57.5
第13位:生命科学部 偏差値 52.5~60.0
第9位タイ:現代福祉学部 偏差値 55.0~60.0
第9位タイ:スポーツ健康学部 偏差値 55.0~60.0
第9位タイ:情報科学部 偏差値 55.0~60.0
第9位タイ:デザイン工学部 偏差値 55.0~60.0
第5位タイ:経済学部 偏差値 57.5~60.0
第5位タイ:社会学部 偏差値 57.5~60.0
第5位タイ:人間環境学部 偏差値 57.5~60.0
第5位タイ:キャリアデザイン学部 偏差値 57.5~60.0
第3位タイ:法学部 偏差値 57.5~62.5
第3位タイ:経営学部 偏差値 57.5~62.5
第2位:文学部 偏差値 57.5~65.0
第1位:国際文化学部 偏差値 60.0~65.0
法政大学の学部別入試倍率ランキング
第15位:グローバル教養学部 一般選抜 2.4倍
第14位:生命科学部 一般選抜 3.4倍
第13位:理工学部 一般選抜 3.6倍
第12位:経済学部 一般選抜 4.3倍
第10位タイ:文学部 一般選抜 4.4倍
第10位タイ:社会学部 一般選抜 4.4倍
第8位タイ:法学部 一般選抜 4.6倍
第8位タイ:現代福祉学部 一般選抜 4.6倍
第7位:経営学部 一般選抜 4.7倍
第5位タイ:情報科学部 一般選抜 5.1倍
第5位タイ:デザイン工学部 一般選抜 5.1倍
第4位:人間環境学部 一般選抜 5.3倍
第3位:スポーツ健康学部 一般選抜 6.2倍
第2位:国際文化学部 一般選抜 6.6倍
第1位:キャリアデザイン学部 一般選抜 6.8倍
法政大学の学部別共通テスト得点率ランキング
第15位:生命科学部 共テ得点率 63%~69%
第14位:理工学部 共テ得点率 55%~70%
第13位:情報科学部 共テ得点率 70%~72%
第12位:デザイン工学部 共テ得点率 69%~76%
第11位:経済学部 共テ得点率 68%~77%
第10位:スポーツ健康学部 共テ得点率 79%
第9位:社会学部 共テ得点率 67%~80%
第8位:グローバル教養学部 共テ得点率 80%
第7位:キャリアデザイン学部 共テ得点率 69%~81%
第6位:経営学部 共テ得点率 69%~81%
第5位:人間環境学部 共テ得点率 69%~82%
第4位:現代福祉学部 共テ得点率 70%~82%
第3位:国際文化学部 共テ得点率 84%
第2位:法学部 共テ得点率 69%~85%
第1位:文学部 共テ得点率 68%~86%
法政大学の人気学部と受かりやすい学部
偏差値や倍率、共通テストの得点率をご紹介しましたが、それを踏まえ、人気学部や受かりやすい学部をご紹介します。
法政大学で人気の学部3選
法学部
冒頭でもご紹介した通り、法学部は元々東京法学社などを前身とした学部であり、日本初の私立の法律学校として知られます。法学部から法政大学が始まったといっても過言ではなく、その歴史的な要素も含めて看板学部として君臨し、人気を集めます。
キャリアデザイン学部
今でこそ学生のキャリアを大学側が考えていくことは普通ですが、日本で最初にキャリア形成やキャリア教育を行い始めたのが法政大学であり、学問にまで昇華しました。法政大学はMARCHの中でも就職率が高い大学ということもあり、人気が集まっています。
国際文化学部
法政大学は2つの国際系学部がありますが、国際文化学部は最初にできた国際系学部です。学部生全員に留学を推奨するなど、グローバル教育に早くから力を入れており、一般選抜の倍率も高め。国際系学部の競争は年々激しくなっていますが、その競争に勝てるほどの魅力を感じさせます。
女子からの人気が高い学部TOP3
女子の割合が多い学部=女子からの人気が高い学部と言えるでしょう。ここでは女性の割合が多い学部をご紹介します。
第3位:キャリアデザイン学部
第3位のキャリアデザイン学部は2022年度時点で全生徒1,251人に対し、女子生徒は736人、学部全体の割合は58.8%となっています。元々の倍率も高く、学ぶ内容もイマドキということもあり、女子生徒の多さにつながっています。
第2位:グローバル教養学部
第2位のグローバル教養学部は、少数精鋭でやっていることもあり、全生徒がわずか421人のみ。そのうち女子生徒は288人を占めており、女子生徒の割合は68.4%と高めです。専門性の高い学部ということもあってか、世界にあこがれを持ち、自らも活躍したい女性が多いということでしょう。
第1位:国際文化学部
こちらも国際系学部である国際文化学部は、やはり全生徒が少なく、1,041人にとどまっています。その中で女子生徒は729人で、女子生徒の割合は70%と高めです。国際系学部を志望する女性の多さが際立つ結果となりました。
受かりやすい文系の学部
倍率や偏差値を踏まえた受かりやすい文系学部を3つご紹介します。
第3位:経営学部
経営学部は、倍率や偏差値、共通テストの得点率でも平均的な順位をマークしており、第3位としました。ただそれぞれの指標はわずかな差しかないため、別の学部と入れ替わりやすいようなポジションと言えます。
第2位:社会学部
社会学部は歴史的に長いものの、現状だと突き抜けた状態にはなく、2位となりました。トレンド的に社会学よりかは国際系学部への興味を持つ人が多く、そのあたりも踏まえた形です。
第1位:経済学部
経済学部は他の大学では看板学部になりやすいものの、法政においては指標的にかなり落ち着いているため、受かりやすい学部と言えます。経済に対する興味関心が高まってくると順位は変動するかもしれませんが、現状では狙いやすい学部の1つです。
受かりやすい理系の学部
次に受かりやすい理系の学部についてご紹介します。
第3位:情報科学部
情報科学部はデザイン工学部とほとんど同じような指標でしたが、共通テストの得点率で差がついたため、情報科学部を3位にしましたが、デザイン工学部とその差は僅差です。
第2位:理工学部
理工学部は法政大学全15学部の偏差値ランキングで最下位と苦戦している一方、一部学科で人気などが高い分、総合的に判断した際、生命科学部よりも上の順位にしました。
第1位:生命科学部
生命科学部は唯一入試科目に生物があるなど、他の理系学部とは若干毛色が異なるほか、倍率が低くなりやすく、需要も比較的落ち着いているため、現状では最も受かりやすい学部と言えるでしょう。
「GMARCH」における「H:法政大学」の立ち位置と人気
最近はMARCHではなく、GMARCHと呼ばれるようになりました。この中での法政大学の立ち位置や人気について解説します。
GMARCHとは
GMARCHは、学習院大学のG、明治大学のM、青山学院大学のA、立教大学のR、中央大学のC、法政大学のHで構成されている大学群です。MARCHは週刊誌で頻繁に取り上げたことで21世紀に入って定着し、それ以降にGMARCHの普及も始まった形です。
大学別偏差値ランキング
ここからは大学別の偏差値ランキングをご紹介しますが、ここで紹介するデータは大学偏差値研究所のデータを引用したものです。
第6位:学習院大学 平均偏差値60.6
第5位:法政大学 平均偏差値60.8
第4位:中央大学 平均偏差値61.2
第3位:明治大学 平均偏差値62.9
第2位:青山学院大学 平均偏差値63.0
第1位:立教大学 平均偏差値64.0
法政大学は辛うじて学習院大学を上回ったものの、MARCHの中では最下位です。これは大学偏差値研究所で調べた偏差値において、高い偏差値を持つ学部が限られていることが大きな要因であり、偏差値が低い学科がいくつか混じっていることもこの順位の要因です。
明治や青山学院、立教は偏差値の高い学部学科が多くあるので、明治と中央の間に大きな差が見られます。
GMARCHの人気ランキング
次に2022年度の一般選抜の結果を参考にした倍率に関するランキングをご紹介します。
第6位:学習院大学 一般選抜 倍率 3.3倍
第5位:中央大学 一般選抜 倍率 3.5倍
第4位:明治大学 一般選抜 倍率 3.8倍
第3位:法政大学 一般選抜 倍率 3.9倍
第2位:青山学院大学 一般選抜 倍率 4.7倍
第1位:法政大学 一般選抜 倍率5.1倍
法政大学は偏差値的にはランキング下位でも、人気の上では堂々のトップでした。2021年度に比べて志願者が急増しているのは青山学院大学と法政大学。青山学院大学もかなり人気の高い大学ですが、法政大学はそれを上回る人気を誇ります。
まとめ
法政大学は偏差値的には落ち着いていますが、人気の上ではGMARCHの中でもトップをマーク。長い時間をかけて偏差値が上がる可能性が想定できます。現状の偏差値と数年後、10年後の偏差値が全く異なり、上位の大学と肩を並べ、逆転する時が訪れるかもしれません。